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2024年 第33回YOSAKOIソーラン祭り 6月5日(水)~9日(日)開催!

2021年06月13日

【30周年スペシャルストーリーズ vol.01】振付師 三浦亨さん

YOSAKOIソーラン祭り30周年記念企画
【30周年スペシャルストーリーズ】

第一回目は、YOSAKOIソーラン祭り初期から関わっていただいた、『伝説の振付師』三浦亨(みうら とおる)先生!
数々のアイドル、ダンシングヒーロー、葉っぱ隊、氷川きよしさんなど、TVや舞台、数えきれないほどのエンターテイメントの世界を踊りや振り付けで作ってきた、三浦先生。
そんな伝説の振付師が語るチーム作りや演舞づくりの三浦先生ポイントや、あの名物チームの誕生秘話、さらには、30年を迎えた、YOSAKOIソーラン祭りへの提言など、当時の思い出を交えてNGなしで、語っていただきました!

※WEBマガジンでは文章として読みやすくするため、YouTubeにて放送されている表現と一部違った部分がございます。
(聞き手:下畑浩二)

 

Episode.1 三浦亨とYOSAKOIソーランの出会い

三浦: まだ始まる前かな…JALに、濱田翼(ハマダ タスク)っていう友達がいて、彼はフジテレビのおニャン子とかの移動の担当だったわけ。番組で会ったりしてて。東京にいたんだけど、それが札幌に転勤になって。
ちょうど長谷川(注:長谷川岳氏~第1回YOSAKOIソーラン実行委員長)たちが、(YOSAKOIソーランを)やろうとしたところじゃないかな。
それで彼らがJALに相談しに行った時に、たぶん対応し(相談を受け)たんだと思うんだよね。(濱田氏から)「札幌で面白いことが始まりそうだから、付き合う?」って言われて・・・
「(その時になったら)言ってよ」って言ってたんだけど…(しばらくしないうちに)もう、始まっちゃってたわけ。(笑)

「あれ?(濱田氏から話が)来ないなー」と思ってたら、(YOSAKOIソーラン祭りの)3年目かな。3回目で、その時に多分また長谷川君が、濱田に相談して「チーム数が増えないから、どうにか増やしたい。このままでいったら…ポシャっちゃう」ってお願いしたんで、それで僕に声がかかって。(濱田氏から)「JALでチーム作るから」って。本当に…「遊び」で来た、っていう感じですね。

-三浦亨先生が実際にYOSAKOIソーラン祭りに関わったのは第4回目からのJAL極楽とんぼから。次章ではJAL極楽とんぼの誕生に秘話について語っていただきます-

 

Episode.2 "JAL極楽とんぼ"のチームコンセプト

三浦: コンセプトは、「とりあえずチーム数を増やしたい」っていうのが1番のコンセプトだったので。このお祭りのね。大賞を取るとか、賞もらうんじゃなくって。

新しいチームを作って…「奇抜なこと」って言ったら言葉が悪いんだけど…「奇抜なこと」でいいのかな?をやって、例えばこれからチーム作りたい人が「あ、こんなチームもあるんだ!」っていうやつを常に提示してあげたら、それに真似してくれるんじゃないかなと。(新たな)チームを作る時に。
だから大賞なんかよりも「来年このチームを何チームが真似するかな?」と。俺の役目はそこだからって…まぁそこまでは言わなかったけど、だからいわゆる、作る時は、「強いチームと違うことをやろう」ってのが、僕の考えでしたよね。

下畑: なるほど~。

三浦: JALのコマーシャルとか、そのへんをヒントにして、一番最初は『JAL飛びサスケ』ってのをやったんですよね。最初は、JALに打ち合わせに行って、こういう部屋(会議室)で。
で、壁のポスターで、明石家さんまさんが忍者の恰好をして、「JAL飛びサスケ!」っていうポスターが貼ってあったんですよ。

三浦: 「じゃあ…(作品テーマは)忍者!」って言って、衣装を忍者にして!
もうだから…「バカ」なんですよ(笑)

下畑: いやいやいや…(笑)

 

Episode.3 初めてYOSAKOIソーランを見て思ったこと

三浦: その当時「セントラルグループ」っていう高知のチームが来て、みんながね…「追いかけてるだけ」なんだよね。だから観ててすっごい…楽しくないって言うかつまんないって言うか、「自分たちのこと(オリジナル)をやってない」ってのは凄く感じたよね。
あと歌が『ソーラン節』だから、もっと力強くなきゃダメじゃない?
こう(よさこい節のように)しなやかじゃなくて、もっと何か…セントラルよりも荒いチームが出てきてもいいんじゃないかな?とは凄く感じた。

 

Episode.4 今だから言えるエピソード

三浦: 「DoCoMoTHE WESTERN(ドコモ ザ ウエスタン)」。 (作品の)テーマ、何だと思います?

下畑: テーマですか…でもあれ本当に、「カウガールがズッキュンバッキュンやってるような」感じでしたよね(笑)

三浦: たぶん「最低」って言われるから(笑)

下畑: テーマは何ですか?

三浦: 「イカすぞ」。女の子が、男に向かって「イカすぞ」と(笑)。だからね…そういうバカなことを、あの頃は出来たんだよね。だから、衣装も(スカートを)短くして、サイドにスリットを入れたりして、で、ウインクしたり、こんなこと(手招きするような動作)やったり…アレ、普通のヒト見たら…絶対、怒りますよ(笑)

下畑: でも何かこう…(他のチームが皆)同じカラーの中に、違うのがポンっと入って、しかもこう、キュートというか。で、すごい演技力もあって。

三浦: それは「その年代の」女の子たちを集めてくれって言って、高校卒業くらいから4年間くらいの、18~22歳くらいを集めて…で、踊ってた子達も、(演技の面で)「遊んで」くれたんで。結構、ウインクとかバチバチやってくれたりとか、最後の方は、僕が要求する以上にやってくれたりしたんじゃないかな~と思うんだよね!「楽しんでやる」っていうのが僕のテーマなんで。
だから1年目は…今だったら捕まるようなことやってたんですよね。
あの…トラクター。公道走っちゃいけないトラクターを、こう…パレード会場の時に走らせてるんですよね。
何がウエスタンなのかよくわかんないんだけど(笑)

下畑: (爆笑)トラクターが… いや、すごいですね!そんな…時代があったんですよね。

三浦: そこで…「DoCoMoTHE WESTERN」で、ライフル持って一番先頭で歩いてるのが、武田っていう奴なんですけど。
あいつが、僕がいわゆる…東京にいる頃、僕が振付してる時に踊ってたんで、「おい、ノリアキ手伝え!」って言って…、ライフル持たせて前歩かせて。
…何か「全員が遊んでた」。だからノリアキも、ただ歩くだけなんだけど、「まあ遊べよ」って言って、遊んでくれて。…普通だったら断るんだけど、「面白そうだから」と。そんな風に集まった人が多かったですよね。

下畑: まさに今のお話で行くと、武田さんのお名前が出てきたんですけど、武田さんと言えば僕らが知ってるのは、「札幌男気流」の団長の武田さん。で、男気流っていう男だけのチームを作った経緯があるんですけど、それって三浦先生関わってたりしますか?

三浦: えーと、最初……ん?(チームが)二つに分かれてたんですよ。その後は、手伝ってます。「テーマ=踊るな」とか(笑)。ただ「歩くだけ」!でも…後でみんなに訊いたら、「あの回が一番キツかった」って。
で、歩くときにこう(普通の腕組み)じゃなくて、こう(腕を肩の高さまで上げた腕組み)!こうやってキープするわけじゃない?「音に合わせては歩かない」のよ。

三浦: ずーっとこう…音(曲のカウント)に関係なく歩くじゃない。で、尚且つ顔はこう(睨みを利かせて凄むような表情)じゃない。…そりゃキツイはず(笑)それで、我慢ガマンさせて…最後に、解いてあげると「ワーッ!!!!」と行くわけ。それは意識してて。そう絶対来るから…だから「テーマ=踊るな」。

下畑: あのチームは男だけで、しかもイカついお兄ちゃん達が、隊列を組んで、しかも踊らないで、周りにメンチを切って…。ただ、凄い人気ありましたよね!

三浦: うん、それで、隊列を決めるのは…4丁目か。あの(大通パレードの)出発前の。で、僕が他のチームやってるんだけど、(男気流の方に)走って行って、「お前ここ!お前そこ!お前はこう、看板持って…お前は違う、こっちだ!」とか言って、「お前はただ歩くだけでいい」とか(笑)。
(一部の)踊る奴らは、全然(練習)やってるんだけど、他の人たちは(パレード練習は)しません!(笑)

下畑: ずっと看板背負ってるだけの人とか居ましたもんね(笑)

三浦: うん、アレは…(練習には来ないで)当日来るわけ(笑)それで僕が、場所を決めたりとか…
でもそれぞれが「男気流手伝ってあげたい」って言って来るから…注文通りやってくれるんですよね。で、「演技」してくれてるわけじゃない、最後まで。でも普段会ったら…クソ優しい奴らばっかりなんだよね(笑)

その頃、副団長をやってた奴が、僕未だに付き合ってるんですけど、何年か前かな、千葉のチームが来てて、で少し…西浦って奴を連れてきたら、女の子、ある程度若い子が「(キャ~!という羨望の仕草)」こんなんなってましたね(笑) でも現実と(演舞中と)違ってたから、「ポワ~ン」とした優しい男でいたから、「ちょっとイメージ違うなぁ」って言われてたけど(笑)

下畑: そうそうそう、もっと、キビシめな感じを想像してたから(笑)…で、男気流さん以外にも先生、結構…今で言うと「夢想漣えさし」とか「三石なるこ会」、「コンサフリーク」とかもやられてるんですか。
それぞれこう、例えばなんですけど、今のチームの人たちも聞きたいことだと思うんですけども、「(他とは)全然違うカラーのチーム」を作る時の、ポイントってありますか?

三浦: あのね、多分ね…全部がだいたい一緒なんだよね。それは、今言ってくれてるみたいに、全然違うチームをやってるじゃないですか。例えば…大野さん)北島三郎音楽事務所 YOSAKOIソーラン祭りの審査員も務めていただいた)っていう…あの人は、プロが見たら「誰が作ったか」って、「俺が作った」ってすぐ解るわけ。でも、他の人たちは解んないんだよね。全然違うタイプのやつが行くじゃない。すると、審査員やってて、ある人が俺の顔をこうやって見て…(無言で頷く仕草)。
で、俺がやってない(チームの)時は絶対見ないわけよ。

下畑: あー…じゃあ本当に、先生が作ったのは(見る人が見たら)解る、と。

三浦: んー…まぁそれはね、何なのか…素人の作り方とプロの作り方って、違うことは違うから、それがこう…解るんじゃないかなぁ。テクニックが上手いとかそういうのじゃなくて、だからいわゆる…俺達って、「カバー」してあげたりするわけじゃない。何か作った時にカバーしてあげたり、「ここをやる時はココだけ目立たせて」とか、そこは、僕がアマチュア時代はそこまで考えないでやってたんだけど。その作り方が(プロになると)解るんじゃないかな…と思うんだよね。

下畑 あー、僕らの目から見たときに、「あ、三浦先生が作ったんだな」という感じが。

三浦: うん、「作ったのはプロの人だな」とか、それが例えば…こっちで見て、東京の僕の知ってる奴らが、こっち来てチーム作ったってのを見ると…「どこか違う」んだよ。

下畑: なるほどなるほど… 例えばそういった各チームがご相談されてですね、三浦先生が相談に乗ったときに、そのチームに合わせた感じの「こういう風にしたらいい」っていうものが出てくるっていうことでしょうか。

三浦: いわゆる…「とんぼ」とか、「Docomo」とか…「コンサフリーク」か。あの辺は、俺が振付してるから「俺のチーム」と思っていいわけじゃない?例えば…「えさし」とか、「三石」とかは、「俺のチーム」じゃないわけよ。だから最初の1年間か2年間は、振付するけど、後は自分たちで作れと。それで、そこを…添削。「ここはコッチがいい」とか、あと、隙がある所を埋めてあげたりして、作り方を教えて、なるべく僕が口出さなくてもいいようにしてる。

下畑: なるほど…では本当に一度そのフォームを作ったら、後はもう…という感じなんですね。

三浦: そう。だから「えさし」も、最初行って、どんなチームなのか僕解らなかったので、振付ける前に、2回くらい行ったのかな…資料館。歴史資料館みたいのあるじゃない。そこ「連れてって」って言って、で資料館の中全部見て、枝幸町の歴史とか見て、コレは題材になるとかならないとか。で次に行った時は、「盆踊りみたいなの無いの?」とか。この土地の。あと「唄とか無いの?民謡みたいなの無いの?」って言ったら…「ないです!」って言うワケ!もう、こんなんなってね(ズッコケ!!)。
で…みんなでこう歓談してる時に、「何か(題材になる地元の要素は)ないのか?」って言ったら、ある子が…「ふるさとキャラバン」っていう劇団があって、全地区を廻って歩いて、そこでミュージカルとか踊りとかを教えてたらしいんだよね。そこで「こっち(片方の手に)御幣と、こっち(もう片方の手)に扇子と、そういう踊りを習いました!」…って。で扇子見たら…「あ!扇子行こう!」って。
最初はやっぱり…普通、扇子って言ったら(自分を扇ぐ動作)こうやって使うもんじゃない?…じゃあダメだから。(振りの中で)バシィッ!と開いたら壊れるから。でも舞扇でも壊してたけどねみんな。ブン回して。「とりあえずブン回せー!壊れてもいいからブン回せー!!」って最初教えてたから。それで最初の年はだいたい振付けて、2年目に、リーダー達に、同じ曲のフレーズ…8小節なら8小節に振り付けてこい」と。で、振り付けたのを見て、音楽聴いて、全員が同じ音で振り付けてるけど、「お前の踊りのココよりも、コッチがいいぞ」とか、そういう事言って組み合わせて、で(リーダー達が)自分たちでどんどん出来るようになって。で、僕はだから、何年くらい付き合ってるのかな…最初の方だけ、付き合ってて。あとは自分たちでやってますよね。

下畑: そういうチームが、キッカケがあって三浦先生がこう、ヒントとベースを作ったものをあとは「自分たちでやり続ける」っていうのは凄いですよね。

三浦: そうだよね。で何かやっぱり…ある程度「我慢」することも必要なんじゃないかなって。信じたやつを、延々と続ける…っていう。

 

Episode.5 演舞や演出を考えるときに、大事にしているポイント

三浦: 見せ場……いや、「無い」んだよね。「あるようで、無い」んだよね。いわゆる「作品」じゃないんだよね。あんなの「作品」じゃないわけよ。それを俺は、この頃も見てると、「作品」って考えてる奴が多すぎてつまんなくなってるんだよね。
「遊べば」いいじゃん!(最近のチームは)「遊んで」ないんだよね。テクニックとか技術なんて…無理なんだよね。あの…下手な、素人が、舞台を…ヘッタクソだけど必死になって踊ってる…ってのが「祭り」みたいな感じするんだよね。それが感動を受けるんだけど。そこに、プロのダンサーがやって…100%で踊んないわけよプロって。だいたい失敗しちゃいけないとかカッコつけたりとか。で、素人に負けるんだよね。だからそこ、お祭りの時に、みんなが勘違いする所で。プロの連中がやる時は、「プロのダンサーではない」っていう気持ちで踊ったら「凄い」と思うわけ。
テーマとか場所とか…とりあえず「何がやりたいか」ってのを、一つ考えるよね。最終的には…「最後のあがき」かな?最後に、(本番で)死ぬほどガーーーーッてやったら、その場合失敗しても、お客さんは納得するわけよ。今はみんな…どのチームもやってると思うんだけど…ズルいことやってんだけど、途中から(曲の)ピッチを上げたのね。多分、みんなもそうだと思うんだけど、踊ってて、夢中になってくると、絶対(曲が)速くなったほうがいいわけ。で音が遅くなると、ダレてくるわけ。それをコッチ解ってるから、ちょっと解らないように(ピッチを)上げて、それから途中、おかず…とか何か入れてまた上げて。…2~3段、上げてるんだろうか?

それがね、解るのは…プロのダンサーがやってても…やっぱりプロの連中も、ずーっとイーブン(均一な)ペースでやってるとダメなんだよね。やっぱり絶対、上がるわけよ。「歌」もそうなんだよね。だから最初の、レコード(CD)を出すじゃん。で、歌い込んでいくとどんどん速くなっていくんだよね。それはやっぱり、(ピッチが)同じだとダレてくるんだよね、歌ってる本人が。だから…「高揚」しなきゃいけないわけじゃない?だから、高揚したらいいぞ、っていいながらテンポがゆっくりだと、上げてもまた下げなきゃいけないわけだよ。だからそうじゃなくて、どんどん上げていく…っていう。で、いつも「テーマは『死ね!』」っていう(笑)

うん、「テーマは『死ね!』」(笑)それで最高だったのは「三石」なのよ。最初に踊った時って、(曲の)最後の方で、(両腕を上体ごと上げたり下げたり)こういうやつやらせたの。(交互に上がったり下がったり)こうなったりとか。途中から一緒になって(上がったり下がったりを)やるんだけど、「できない年齢」の方がいらっしゃるわけ。その時言ったのが、「腕上げなくていいからずっと(上体を下げたまま腕だけ上下に振る)こうやっててくれ」って(笑)。「上やったら…目立つから、上やらなくていいからずっと下やってて」って(笑)。で、もう必死になってやって…バラバラだったんだんよね、大賞取った時。揃ってないわけ。あれが良かったんだよね。審査員には。…その後、大賞取った後、練習するじゃない。例えば冬…雪まつり。見たら、綺麗に揃ってんだよね(笑)「何だよ!」ってね(笑)!
パワーが無くなってるわけよ、揃ってると!「この踊りは、合わない方がいい」って時あるわけよ!それがパワーに振ったほうがいい、と。で、「この踊りは揃えた方がいい」とか。まぁヒント与えるけど、みんなでぐちゃぐちゃ、バラバラに踊ってる中で、「バァン!」と、ここで揃った瞬間が、凄い揃って見えるわけ。で、いつの間にか、全部の踊りが揃ってるように見えるのよ。「勘違い」するんだよね(笑)

下畑 ちなみに先生、自分が関わってないチームで、「ここ面白かったな」ってチームありますか?

三浦: 「面白い」って言うか、「やりたかったなぁ」っていうチームは、あれどこのチームだろ?おばあちゃん達だけの…

下畑: あぁ、「婆ぁよさこい」ですか?

三浦: それを…ハマダ君と俺とで…プロデュースしたいなぁって。で、踊ってるじゃない?「とりあえず、必死になって踊ってください」って言って、両サイドに、担架と(笑)、お医者さんがいて…酸素ボンベ持ってる人がいるわけ!…で、敢えてわざと倒れてもらって、そこにそいつらがバーッて行って、ボンベをね、与えると…「ヤーーーッ!!!!」って踊りだす…っていう、そういうのを、やりたいっていうね‥(笑)
そういう、「遊び」っていうかさ…笑えるじゃん?それって!そこが一番大事なトコだよね!

 

Episode.6 三浦亨が思うYOSAKOIソーラン祭りの今後

三浦: 組織委員会の伊藤君と話して、「もう1回、何か…3年目とか4年目の雰囲気に戻れたらもっと楽しいんだよなぁ」って言ったんだよね。そう思ってたんで、こうやって札幌に来てるんだけど。でも、こっち(北海道)で実際にやる人たちがそう思わない限りは無理なんだよね。僕なんかはそこを、ちょっとみんなに、お願いしたい。あの、「3回目4回目の、あのデタラメさが楽しかったんだよ」ってやつを。凄い綺麗にやるのも良いんだけど、「見せる」んだけど、「見せるよりも踊って楽しい」やつをやろうよと。「本当の笑顔」を作ろうぜ、って。今は、「笑顔なんだけど作り笑顔」っていう、そっちの方が多いんだよね。だから「本当に楽しんで」ないんだよね。で…踊りに振り回されるんだよね。だから、俺から言うと(心から、という意味では)「踊ってない」。

合わせるのが一番、じゃないんだよね。合わせたから良い、ってんじゃなくて、一番なのは「気持ちが合う」のが一番であって。動きが合うから良いんじゃなくて、気持ちが合ったら、例えば、タイミングがボン!と合って、手がここ(低い位置)にあろうが、ここ(高い位置)にあろうが、良いわけよ。ストーンッ!って合わせれば、(ポーズが)こうなっていようが、こうなっていようが、それをキープしない限りは、すぐ降ろしたりすれば、合ってるわけ。それが一番…なんだよね。で、もし「合わせる」のが一番だと思ったら、身長・体重、含めて合わせないと、無理!

下畑: (そこまでやらないと)合わすっていう事にはならない、と。いう事ですねー。

三浦: そういうことそういうこと!…だからその辺考えて、作っていかないといけないんだけど。。いや、いつも言ってるのは、俺もこのお祭り好きだから、何か…アドバイスしに行くから、是非是非、言ってください!別にどのチームに限らず。その代わり、辛辣なこと言ったりはするけど、多分、自分たちで考えてるよりも、「違う」ものが出来ると思うんだよ。ただ、一つだけ言えるのは、(実際に練習に)行って「ここ直して、ここ直して」って言っても…「本質」は直してないんだよね。

上っ面を直してるだけなんだよね。それよりも何か、ちゃんと話して、「ここ、何でこうなの?」とか言って、それでミーティングしながら直してあげると、多分もっと変わるんだよね。
気持ちの意味も含めて。「ここは何で太鼓持ってるの?」とか、例えば「ここで、こうやって踊るんだったら、普通だったら(踊り子同士で)アイコンタクト取りながら踊ったらもっと楽しいよね」とか…そういうことだよね。それが多分「祭り」だって思うわけ。

下畑: 確かに何となくこう、30年経ってきた中で、YOSAKOIソーラン祭りっていうものが「何となくの形」が出来てきて。で多分、それを観て、また皆さんが「新しくチームを作ろう」と思ったときにまた「何となくの形」が…それが全てじゃないんだけど、そこだけ見て作ってしまう‥っていう所もあるかも知れないですね。「これがYOSAKOIソーランかも」って。でも、先ほど先生が仰ってたように、3回目くらいの人たちは、形なんて無くて、「とりあえず祭りなんだから、何でもやろう」とか(笑)、「道内に、全部の市町村にチーム作ろう」とか…「勢い」だけでやってた、で、祭りとして成立させようっていうパワーみたいな、人間力みたいな所が…別に「揃える揃えない」ではなくて、「心」でみんなで祭りをやってた…という感じなんでしょうかね。

三浦: うん、だから…今の奴らは、変に「踊りが上手じゃないとダメだ」とかなっちゃうわけじゃない?下手だったら下手なりの奴らの「作り方」があるわけよ!

下畑: 実際こう、お話聴いていて、長谷川さんもそうですけど、濱田さんも、狙ってたところ含めて、三浦先生との兼ね合いと、全国によさこいのお祭りが広がっていったじゃないですか。で、様々なチームが今出来ているんですけど、何となく似通ったカラー(のチーム)が多いっていうのを、今一度考える時期…去年は中止・今年は延期ってなってるんですけど、見直せる時期なのかも知れないなって思うんですよね。

三浦: そう!だからそうだと思って、「今やらなきゃダメだな」って俺が思った時に、伊藤君もそう思っていて、この頃よくコンタクトを取ってるんですけど。二人がそう思ってるんだから、絶対そうなんだよな…で、それには、僕たち以外に、もっと賛同者がいないと変えられないんで、そこはちょっと…「古い人」って言ったら怒られるけど(笑)、みんながそこを意識しながら、自分のチーム以外の事も考えながらやってくれると、もっとこのお祭りって、凄く面白い祭りになるんじゃないかなーと思うんだよね。

今日なんかも、こうやって喋れたってのが嬉しいんだけど、例えば今年、やろうと思って作ったやつをもう一回、ブラッシュアップする時に、「形のブラッシュアップ」じゃなくて「気持ちのブラッシュアップ」をしてほしいよね。だから、いわゆるストーリーっていうのがあったら、そのストーリーを、もう一回「認識」する。例えば何かをやるんだったら、その「テーマ」の事をもう一回「何か?」って事をよく考えてやるっていう…。今は多分、テーマとか何か、みんなで考える前に「振り」だと思うんだよね。じゃなくて「コレ(こんなテーマを)やりたいんだよな」と思ったら、その代表者でもいいから、みんなで…たとえば「命」と…あと、何ですかね、難しい事だけど、何かそういう事(テーマ)があったら、そこを捉えていく、と。

例えば…(ペットボトルを持って)「この絵を描け」って」言うわけ。「ペットボトルを描け」って言ったら、みんな「こう(立っているボトルを正面から見る)」なんだよね。「こう(俯瞰から見る)」でもいいんだよね。下から見てもいいんだよね。今、全員が「こう(正面だけからしか見ない)」なのよ。だからつまんないのよ!
だから、そこを何かもうちょっとみんなが解って…ここから(色んな方向、色んな角度から)見ている動きがあったら、「せーの、ドン!」で(その一瞬だけ)全員でこっち見ればいいわけじゃない?だから、ずーっとこっち(一方向だけ)向いた踊りをやってるからつまんないんだよね。
あと、「この踊りは、どういう踊りなの?」と、「ここのメインは誰なの?どのグループなの?」ってやつが、結構少ないの。見てて。「あ、この踊り…ココがメインだったら、(一方で)コレいらないよな」って思うわけ。で、あと…振りを作り過ぎてるから。色んなのを。だから、どこ見ていいのか解らないのよ。
だからそういう事で言うと、例えば俺も若い頃はそうだったけど…「これ(盛り上げる部分)」やろうとしたら、その前って絶対に「下げる」わけ。で「これ(盛り上げる部分)」をやって次も一旦落とすわけ。それでまたこの辺(部分)を…と(抑揚をつけて)やれば良いんだけど。何か、見てると「ずーっと同じ」なんだよね。食事で言うと「ずーっとメインディッシュばっかり食べてる」みたいな。「ここ(盛り上げる部分)」をカッコよくするには、もっと、前が落ちれば落ちるほど「バーン!!」と行くわけじゃない?だから「あえて踊らせない」とかさ。
いや、「もったいない精神」は解るんだけどね(笑)。すげー解るのよ!それは…(自身の)この歳までやってるから解るんであって、みんなの歳だったらまだ解んないかも知れない(笑)

下畑: (笑)まぁ…でも実際、やっぱりそうじゃないですか。印象に残るものって、ヤマがちゃんとあって。だから、「あの振り印象的だよね」とか「あのシーンいいよね」って言われる時は、「全部が良い」わけじゃなくて…そこ(一番見せたい所)にポイントを絞れるように、そこがそう見えるように、なってるんですよね。

三浦: ちゃんと、考えて考えて、練って練ってやって…「良い振付」って言われたことねぇもん(笑)。だって練れば練るほどさ、詰め込みたくなるんだよね!僕、ミーティングだ何だって言ってたけど…「ツボ」を忘れちゃうんだよね。

下畑: や、そうなんです…これまた、曲もそうなんですけど、何回も何回も聴いてるうちに、何かこう…どんどん最初のイメージと違ってくるんですよね。でもそれって(作り手として)何回も聴いている自分だからそうなっていて、1回しか観ないお客さんってそういう事ないじゃないですか。その、最初のファースト・インプレッションも本当は大事だ、っていうのが、やっぱり薄れてくると言うか…

三浦: そこは本当にね、僕は(今まで)やってて、一番最初必ず「譜面ちょうだい」って言うのね。譜面もらって、今は打ち込みだからほとんど譜面ないんだけど、そこで気になる音を、パっと聴いて、バーッと印付けていって、「そこは大事にしよう」…っていうのはある。

下畑: なるほど…!や、これ以上言うと、先生のノウハウが全国に流出してしまう…(笑)

三浦: いいじゃない!そんな…(笑)

下畑: (笑)いや、そんなね、ケチくさい事は言わないですけども(笑)…先生、長い時間どうも本当に、ありがとうございました!

三浦: こんなんでいいのかぁ?(笑)

下畑: 全然大丈夫です!(笑)

三浦: いい風に…カットしてください(笑)

下畑: どうも、ありがとうございました!!

※三浦亨先生にご指導いただきたいチームの方々は一度、YOSAKOIソーラン祭り組織委員会にご相談
(写真撮影:髙山ひとみ)

 

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